jfnの耐えられない軽さ

jfnコレクターズ倶楽部

今日、ロシアのハッキング・米大統領選介入に関する初の正式報告書が発表されました。

CIA・FBI・NSAの分析結果をまとめたものなんですが、国家機密指定ではない、いわゆるライト版が公開されました。

(レポートに興味のある方は→でダウンロード)

トランプさんが読んだ報告書は機密情報が入っているほうで、さらに色々な情報や証拠、人物の特定など含まれていると思われます。

私たちがアクセスできるのはライト版ということで、具体的な証拠は少なく、今までのニュースとあまり変わらないのかなと思っていましたが、いくつかの点が明らかに。

まずびっくりしたのが、この断言

We assess Russian President Vladimir Putin ordered an influence campaign in 2016 aimed at the US presidential election. Russia’s goals were to undermine public faith in the US democratic process, denigrate Secretary Clinton, and harm her electability and potential presidency. We further assess Putin and the Russian Government developed a clear preference for President-elect Trump. 

ロシアのプーチン大統領が2016年の大統領選に影響を与える狙いで工作を命じたと分析しています。ロシアの狙いは米国の民主的な秩序を覆すこと、そしてヒラリー・クリントン氏を攻撃し、彼女の当選可能性に打撃を与えること。さらに、ロシア政府はトランプ次期大統領に肩入れし、明らかに支持した。

各情報局が一体となってこのような正式な形で「プーチン大統領が命じた」という分析結果を公開するのは初めて。こんな断言するとなると、具体的な証拠を述べているClassified（機密指定）版の報告書が気になりますね、、、

プーチンさんは、（プーチンさんの資産隠しが明らかになった）パナマ文書スキャンダルやロシアのオリンピック・ドーピングスキャンダルは、アメリカがロシアのイメージを下げ恥をかかせようと努力した結果であると感じていたとの結論も。

だから反撃しよう、と。

さらに興味深いなと思ったのがこちら

We also assess Putin and the Russian Government aspired to help President-elect Trump’s election chances when possible by discrediting Secretary Clinton and publicly contrasting her unfavorably to him. All three agencies agree with this judgment. CIA and FBI have high confidence in this judgment; NSA has moderate confidence.

プーチン氏とロシア政府はクリントン氏を攻撃することによってトランプ氏が当選する可能性を高めようという狙いがあった。三機関とも（CIA・FBI・NSA）同意している。CIAとFBIの、この結論に関するコンフィデンス（確信）は高い。NSAは適度のコンフィデンス（確信）を持っている。

この微妙な確信の差に報告書はさらに言及しないのでなんとも言えないのですが…。

インテリジェンス（情報）は大きく6種類ありまして、その中でも重要なのがこの2種類：

HUMINT：ヒューマン・インテリジェンス／人的情報。スパイや諜報活動による、人からの情報収集。

SIGINT：シグナル・インテリジェンス／電波情報。電子機器を使い、通信や電子信号を傍受する事によって情報を収集。

CIAやFBIは主にHUMINTを収集し、NSAはSIGINTのスペシャリストです。

つまり、ロシアのハッキング目的を証明する証拠に、NSAが集めたテクニカルなデータや情報よりも、CIAやFBIの諜報員がスパイ活動によって得たHUMINT情報、人からの情報のほうが多いのかも。

そしてウィキリークスについてもこんなことを

We assess with high confidence that Russian military intelligence (General Staff Main Intelligence Directorate or GRU) used the Guccifer 2.0 persona and DCLeaks.com to release US victim data obtained in cyber operations publicly and in exclusives to media outlets and relayed material to WikiLeaks.

ロシア軍参謀本部情報総局（ＧＲＵ）がサイバー活動で入手した米国人被害者のデータを公表するため、「グシファー２．０」という名前や「ＤＣリークス」「ウィキリークス」といった告発サイトを使っていたことに高い確信を持っている。

ウィキリークスの創始者、ジュリアン・アサンジは、公開した情報やデータの情報源はロシア政府ではないと全否定ですが、報告書はGRUが「グジファ―２．０」という自称ルーマニア人ハッカーのペルソナを作り上げ、グジファ―を通してウィキリークスに情報を流したと。

「CIAやFBIはなんの根拠もなく、政治的目的で私の立場を弱くしようとロシアが選挙に介入したと言い張っている！！」

「諜報機関がいうことなんて信じられない！！」

「ウィッチ・ハント（魔女狩り）だ！！」

…と、今までさんざん子供のようなツイートを公開してきたトランプさんが、この報告書の公開とともにCIA・FBI・DNIの長官らからロシアのハッキングについてブリーフィングを受けました。

ブリーフィング後は少し落ち着いた様子のトランプさん。ロシアのハッキングを全否定せず、なんらかのサイバー攻撃をアメリカはロシアから受けていると認めたものの、「選挙結果とは１００％関係ない」と断言。

まぁ、立場的にも口が裂けても関係あるとは言えないですよね…。

「就任してから90日以内にサイバー対策を練るチームを立ち上げる」とも言っていますが、もうすでにあるのに…。自分の方針に従うチームを作りたいってことなんでしょうね。

今年はヨーロッパも選挙が多いですが、ハッキングにはかなり警戒しているそうです。

フランスでも、国民戦線の大統領候補・ルペンのロシアとの繋がりやロシア銀行からのローンが話題になってますね。

サイバーの世界って、目に見えないところである種のゲームが行われているのって、ゾっとしますね。アメリカもロシアに負けないくらいサイバー攻撃や活動を行っているとは思いますが…。

さて、ここからトランプ政権がどう動くのかですね…。動きそうにないですが。

Hope you have a happy Saturday!

jfn 提案型会計事務所