現代トリスタンの乱れを嘆く
日本フィルハーモニー交響楽団第690回東京定期演奏会(1日目)を、東京文化会館にて。
ワーグナー:楽劇「ラインの黄金」(演奏会形式)
指揮:ピエタリ・インキネン
ヴォータン:ユッカ・ラジライネン
フリッカ:リリ・パーシキヴィ
ローゲ:西村 悟
アルベリヒ:ワーウィック・ファイフェ
フライア:安藤赴美子
ドンナー:畠山 茂
フロー:片寄純也
エルダ:池田香織
ヴォークリンデ:林 正子
ヴェルクンデ:平井香織
フロスヒルデ:清水華澄
ミーメ:与儀 巧
ファーゾルト:斉木健詞
ファフナー:山下浩司
演出:佐藤美晴
照明:望月太介(A.S.G)
衣装スタイリング:臼井梨恵
首席指揮者インキネンが日本フィルでワーグナーを振るのはこれが3度目。最初は2013年の「ワルキューレ」第1幕で、このときは歌手に恵まれたこともあって素晴らしい印象だったのだが、昨年の「ジークフリート」「神々の黄昏」の抜粋はオケがペラペラに薄く、まるでよい印象がなかった。
さて今回の「ラインの黄金」は抜粋ではなく全曲演奏。昨年の公演よりはずっとよい出来であるが、かといって手放しで満足したかと言われるとそこまでではなかった、というところか。
東京文化会館に行く途中、ベーム/バイロイト祝祭管のトリスタンを聴いていたのが災いして、前半は相対的に弦の音がずいぶん軽く聞こえてしまったし、自分が眠かったこともあるのだがあまり音楽に没入できなかった。しかし第3場ニーベルハイムのあたりから音楽は雄弁さを一気に増し、16型対向配置弦セクションの低音が意外にしっかりと聞こえるようになってきたのがうれしい。
金管は多少の粗さもあったものの、量感には不足しない。
歌手陣はまずまずか。
ヴォータン役は新国リングでもおなじみのバイロイト歌手ラジライネン、さすがワーグナー歌手の貫禄を見せたものの圧倒的な陶酔感は得られない。フリッカ役のパーシキヴィ(なんとフィンランド国立歌劇場芸術監督!)はワーグナー向きの熟した声質。体調不良でドタキャンしたハルトマンの代役として重要な役ローゲを歌った西村悟は3月のびわ湖ホールプロデュースオペラでも同役を歌っていた。彼の声は私のイメージするローゲの声ではないが、いい声で実に巧いし演技もなかなかだ。今日最も喝采を受けていたアルベリヒ役ファイフェ、こちらも私のイメージするアルベリヒの声ではなかった。
他の脇役を固めた日本人歌手はみなとても巧くて、日本のオペラ界のレベルの高さを示していたと思うのだが、ワーグナーの歌唱としてはちょっと違和感があったり、声に深さが欠けていたりする人もいる。
今回は1日目だから、明日はもっとよくなることであろう。それにしても連日の上演でキャストが全員同じとは…なかなかハードなスケジュールである。
ロハスとトリスタンの意外な共通点
真珠ちゃんはもう夏休み入ったよね?
☆メイドインアビス
田中先輩が決めたー( 厂?ω? )厂うぇーい