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白石(では、これから花火大会を始めたいと思いま~す!
ついに訪れた花火をする日。
いや~ここまで長かった~!
宿舎の前、すっかり暗くなった外に出るとテンションがいつもより五割増しの白石先輩がいぇーい!と拍手をする。
橋本(大会のわりにはショボくない?
白石(は~い、気にしない気にしない!
今日も今日とでテンションの差が凄すぎる二人が指揮をとっています。
喜ばしいことに、体調を崩している部員をいないし、奈々未と私以外は全員テンションは高め。
いや私もいつもよりほんのちょっとはテンション高いと思うよ?
白石(んじゃ始めよう!
全員(は~い!
ということで白石先輩がろうそくに火をつけたのを合図に花火大会がスタート。
西野(わ~きれい!
若月(おっいいね~私もそれやろっと
こんなものがどうやったら入るんだってぐらい白石先輩のカバンから出てきた花火は、いろんな種類があって、しかも数がすごい。
まぁ、これなら人数が多くても余裕で長い時間楽しめる...のはいいけど、多すぎでしょ。
宿舎の玄関にあがるための階段にこれでもかと山盛りに置かれた花火。
これ、全部使い切れるのかな...。
深川(見て~ななみん
橋本(おぉ、綺麗だね
いつもの優しいお姉ちゃんのまいまいと違って、心から楽しんでいるようなまいまいが花火を奈々未に見せている。
奈々未もいざやるとなると、楽しみたいのか、それともまいまいが楽しそうだからかわからないけど、花火を取りに行った。
...私も早く取りに行こっと。
適当に手に取った花火をロウソクに近づけて、火花が出るのを静かに待つ。
最近やってなかったから懐かしいなぁ...。
昔は毎年奈々未と家の前でやってたっけ。
今年はまだやってないから一年ぶりか。
先っぽから火花が出だしたら、みんなから少し離れたところで花火を眺める。
煙を出しながら勢い良く飛び出す火花。
飛鳥(......
昔は大好きだったのになぁ...。
キラキラと輝くその花火をするのも、眺めるのも大好きだった。
なぜって言ったら、単純に綺麗だったからだと思う。
深い意味もなく、みんなでワーキャーいいながら花火をするその時間そのものも好きだった。
それなのに、なんで今はそんなに魅力を感じないんだろう…。
何秒かすれば消えてしまうその儚さに気づいたから?
その儚さは美しさも生むけど、それと同時に悲しさも必ず生まれると気づいたから?
始まればなにかが終わることに気づいたから?
私が、大人になったから?
昔はあんなに好きではしゃいでいたのに、今は綺麗だとは思うけど、そこまで楽しくはない。
なんだか寂しいな...。
橋本(どうしたの?浮かない顔して
なんで奈々未はこうも私がモヤモヤしてると声を掛けてくるんだろう。
私のことを良く見てくれてるんだろうか。
奈々未私のことをよく見て、よく気づいてくれるくせに、なんで私は奈々未のことが好きだって気づいてくれないんだろ…。
飛鳥(別に
橋本(ほらおいで、そんな一人でやってても楽しくないでしょ?
飛鳥(私にはこれくらいがお似合いだよ
私の今の気持ちのように、もう消えてしまった花火を見つめながらそう言うと、ふ?んと奈々未は疑いの目を向けてくる。
強がってなんかないもん。本心だよ?本当に心から思っていること。
橋本(花火に限らずすべてのことに通じることだけどさ、今で例えると、みんなは花火をもちろん楽しんでいるけど、みんなと花火をしているこの時間を楽しんでるんだよ?
飛鳥(...どういうこと?
橋本(普通にしていたら、みんなは基本的にバラバラのことを思っているけど、こういうことをしてると、みんな同じ一つのことを楽しんでるじゃない?
橋本(その一つのことについてなにかを思って、共感して、みんな楽しそうな顔を見て自分も楽しくなる。そんな時間をみんな楽しんでいるんだよ
飛鳥(ふ?ん
橋本(つまり、飛鳥は今みんなの輪から離れているから、みんなと同じことはしてるけど、みんなを見ていないから楽しくないんじゃない?
飛鳥(別に、楽しくないなんて言ってない…
橋本(嘘、顔に出てるよ
はぁ…いつまでこの人は私の心を読めば気が済むんだろう。
私が読んで欲しいのは、そんな気持ちじゃなくて…す、好きっていう気持ちなんだよ?
橋本(ほらおいで。みんな待ってる
その言葉に、そんなの嘘だと花火か視線を外してみんなのいる方向を見てみる。
西野(飛鳥?楽しいで?
すると視界に入ってきたのは、花火を持ちながら、満面の笑みでこっちに手を振るなぁちゃん。
確かに楽しそう。だけど、私を待っているかは別。
白石(ほら、飛鳥もおいでよ?
飛鳥(…確かに待ってるね
花火に視線を戻して、もう1度みんなのことを見たら、今度は白石先輩がぴょんぴょんしながらこっちを見ている。
橋本(でしょ?いつまでもこんなところで突っ立ってないでおいで
飛鳥(…わかった
私は奈々未に手を握られ、強引にみんなの輪に入らせられた。
もう消えて、花火ではなくただの棒となった花火を持ちながら飛び込んだ私を暖かく認めてくれるみんな。
はぁ、本当に私って幸せ者だな。
白石(ほら、新しい花火とっておいでよ
飛鳥(え?あ、はい
白石先輩が、私の握っていた花火をすっと取り上げ、流石ピッチャーなだけあって、ポイッと投げられた花火の棒は水の入ったバケツに見事イン。
結構離れてたのにすごい...と感動していると、気づけば新しい花火を握っていた。
飛鳥(あれ?なんで?
白石(ほらほら、早くやろっ!
私二個持ちやっちゃお?っと楽しそうに花火をぶんぶんと振り回している白石先輩を見る感じ、たぶん犯人はこの人。
そして呆気にとられている私の手を引いて、ロウソクへと連れて行く。
はぁ、本当に強引な人だ。
そしてまた気付けば白石先輩が私の手を掴んだまま、花火をロウソクに近づけて花火を着火していた。
白石(あ、飛鳥の綺麗!私も次にやろっと!
途端に飛び出してくる火花に、白石先輩は目を輝かせてそう言う。
本当に子供で、一緒にいて飽きない人。
飛鳥(ふふ、白石先輩は本当に子供ですね
白石(え?飛鳥よりは大人だと思うけどなぁ
飛鳥(そうですか?確かに容姿はそうかもしれないけど、精神年齢は私のほうが大人ですよ
白石(…まぁいっか
い、いいんだ。
突然騒いだり、突然静かになったり、とにかく忙しない人だけど、一緒にいて楽しいっていう人はこういう人のことを言うんだろうな。
西野(ホンマ、飛
鳥の綺麗やなぁ。ななも飛鳥と同じのやろっと
若月(じゃあ私も?
深川(この流れに乗って私も?
橋本(ここで私もやらなきゃKY決定しそうだから私も
なぜか私と同じ花火を持ち出したみんな。
そしてもうすぐ終わりそうな私のために、なぁちゃんが私用にもう一つ持ってきてくれた。
全員(せ?のっ!
そしてみんなで一斉に着火。
ほぼみんな同時に飛び出す火花に、ワーキャーとはしゃぐ。
白石(わ?綺麗!
飛鳥(ほんと、綺麗…
西野(ホンマやな?
なるほど、奈々未が言っていたのはこういうことか。
みんなで一つのことを共有し、共感する。
確かに、こうやってみんなとはしゃぐこの時間は…
すごく楽しいかもしれない。
要は、火花がないんでしょ?
今日は珍しくシフトが午後からなので、朝の内に更新。H×Hが、今回はそれなりに連載が続いて何より。何時になったら主役が出るのかと思いつつ、蔵馬が好きだった私はご多聞に漏れずクラピカ好きなので「まぁ、いっか」とも。蘭厳しめSSです。蘭ファンはバックプリーズ。 新作映画のサブヒロインの役をゲットしていたベルモット―――シャロンの自宅に向かった二人は、変わらず美しい彼女に歓待された。流石、日本ではほぼお目にかかれないような豪邸だったが、園子の家に行き慣れていた二人は気後れなどしなかった。使用人達の姿もちらほら見えるが、それもまた気にしない。恐らくあの中に護衛兼監視人も混じっているのだろうとも思われる。「いらっしゃい、新一。そして志保」「…私を志保と呼ぶのね」「当然でしょう?あれはもう存在しない、私もただのクリスだし、そもそも貴女は『いなかった人間』になってるのだから」「それは複雑なのよね。あの時代があって、今の私がいるのだから」「まぁ、とりあえず中へ入って。積もる話はそこでね」通されたのは応接室ではなく、シャロンが普段使っているリビング。それでもきらびやかである事に違いはないが。そして鈴木邸でそうだったように、お茶やお菓子などが次々と運ばれてくる。「まずは結婚、おめでとう。正直、ここまで早いとは思ってなかったから驚いたけど」「確かに俺が成人するまで待つって手もあったけど、紙切れ一枚の契約書でもあるとないとじゃ大違いだろ?」「そうね。まずお互いに権利と義務が生じるわ。それに第三者には牽制になるわね」シャロンが嫣然と微笑う。この二人の場合、後者の意味合いも大きいだろう。「愛だけじゃ生きて行けない、それも真理ね。でも、愛がなければ人生は砂漠だわ」「貴女からそんな言葉が聞けるなんて、驚きだわ。余程新一の愛は凄いのね」「私はお姉ちゃんとの姉妹愛しか知らなかった。でも、彼に会って色々な愛を知ったわ。お父さんから、小さな親友達から、園子さん達から…見知らぬ人達からでさえ」「そう…あの場を抜けてから、いい経験を積んだのね」「ええ。羨ましい?」「いいえ?だって形は違えど、私も新一に救われた女の一人よ。貴女のその経験は、全て彼の存在があってこそ。違うかしら?」「否定はしないわ。だって私を幸せにしてくれたのは新一だもの。そして、これから彼を幸せにするのも私。救われて『ありがとう』だけで済ませはしないわ」“んー――?”過去の確執が完全に払しょくされていないだろうと、ある程度のいざこざは覚悟していた新一だが…どうも自分が予想していたものとは違う雰囲気に少々戸惑う。何だろう、この雰囲気は。これが優作や赤井であったなら、二人の間に火花が散っているのが解っただろう。それはかつてのシェリーとベルモットとしてではなく、新一を間に挟んでの志保とシャロンの戦い。これが「女の戦い」に発展しないのは、幾らシャロンが新一を特別に思っていても、そこに恋愛感情がないから。そしてまた志保もそれは理解しているからだ。更に言えば、シャロンには新婚ほやほやの志保をからかう気持ちも、何処かにある。聡い志保は、そこにも気付いている。お互いにある程度相手の心理を読んでいながらのこの応酬は、つまり、新一を間に置く事で適切な距離を測り、これから「友人関係」を築いて行く為の儀式のようなもの。“だって、仕方ないじゃない。シェリーを蔑ろにしたら新一から縁を切られかねないもの”“だって、私がベルモットと仲が悪かったら、お母さんが困るじゃない。如いては新一も”事件が絡めば、他人の心理を正確に読めるのだが、こういった通常の女性心理にはまだまだ疎い新一は、黙って二人を見守るしかなかった。女性同士のやり取りに口を挟む事の愚かさ位は、学んでいるのだ。 アフリカ遠征から戻ってきているシャロン。この映画を撮り終えて宣伝やらがひと段落したら、また何処かに行く事に。組織殲滅の影響は、そう簡単にはなくならないでしょうしね。