図書館 人とともに~With Human~
「あの、隣いいですか?」
大学の学食でガツガツカレーを食べていた俺に誰かが言う。
「あー...ごめんなさい。ここ先約がいるんで」
俺が言うと、困ったように首をかしげる。
俺も周りを見渡すと席は1つも空いてない
「じゃあどうぞ」
俺は、カバンを退けて席を譲る
「でも、先約が...」
「あ、大丈夫です。」
大丈夫ではないがそう言う
「隆弘ー」
そう言って手を振り走ってくる彼女
ヒールで走るなんて、怪我したらどうすんだ
「すまん。席1つしか取れなかった」
「えー?!席2つ確保したってメール来たじゃん」
彼女は?を膨らませて俺を見つめる
「俺食べ終わったからそこで食べな。」
そう言って俺がどくと、渋々座るがまた振り返る
「隆弘は、そこにいるの?」
「いや、向こうの図書館にいるから食べ終わったら来いよ」
そう言うと、頷いて自分で作ったお弁当を取り出した
今日も美味しそうなご飯だなー
俺は卵焼きを摘んで食べる
「うまい...!!」
「ちょっと!!」
彼女は怒るため、学食を退散した
『あーあ。ご飯一緒に食べたかったな。』
そんな顔をした彼女を見れただけで俺の心は幸せだ。
そして、お昼を食べ終わったであろう彼女が、俺を見つけて近づいて来た
「実彩子ー。食べ終わっ...?!」
言い終わる前に俺の胸に飛び込んで来た
「実彩子?!」
俺は飛びついてきた実彩子を抱きかかえると肩が震えている。
これは、高校の頃からの合図
何かがあったんだ。
図書館で見かけた彼女を高校の頃一目惚れしてからの付き合いだ。
だから、俺は慌てて実彩子と図書館を出た
「どうした?!」
外に出て言うと、
「バカあ...」
え...?
「鈍感、鈍感!!!」
「はあ?!」
何事だ?
「なんで、席なんか譲っちゃうのよ」
あれ、席譲ったのバレてる..
そして、実彩子から全て事情を聞く
俺が出てから、俺が席を譲った子が実彩子に聞こえる声で俺に優しくしてもらったことを自慢して来たらしい。そして、実彩子を見て、奪ってやると脅されたらしい
「怖くて...本当に奪われちゃうんじゃないかって...」
震える声で呟く実彩子に嬉しくなり抱きしめる
「大丈夫だよ。俺は、実彩子の前から消えないし、ずっと隣にいるって決めたから」
「隆弘...」
「しかも、俺よりお前が他の男に奪われたらて、毎日考えちゃうぞ?!」
「そんなわけないでしょ?!私は隆弘だけでいいの。隆弘モテるんだから目立つことしないでよ?」
潤んだ瞳で上目遣いで言われて落ちる奴なんかいねーなこりゃあ...
「その目、他の男にすんなよ?!」
「しないわよ...!!」
「俺がモテるのより、実彩子こそモテるんだから」
「そんなことないもん!!隆弘は昔からモテるから...」
ブツブツ文句言う実彩子の横顔を見つめて俺は微笑む
俺には君しかいないから
君に図書室で一目惚れしてからずっと
ずっと俺には君しか見えてないし、隣には君以外いてほしくない。
「『隣、いいですか?』」
急に発した俺の言葉に驚いた様子で気づいたように微笑む実彩子
「『もちろん!!』」
そう言って息を吸い俺の手を握った
「いつまでも」
やっぱり俺はずっと君の隣
END